経済産業省は9月8日、同6日に発生した「平成30年北海道胆振東部地震」の影響で大規模停電が発生した北海道において、今後さらなる大規模停電を避けるため、家庭・業務・産業の各部門に対し、電力需要が増加する平日の8:30~20:30(節電コア時間帯)に約2割の節電を呼び掛けた。
現在、北海道では供給力の積み増しによって、供給力346万kWを確保したが、週明けの需要見通しはピーク時で383万kWで、約1割のギャップを埋める必要がある。
大規模停電を避けるためには、節電コア時間帯に道内全域で平常時よりも、東日本大震災後の節電目標並みの1割程度の節電が不可欠となる。しかし、老朽火力発電設備の故障等のリスクや、病院・上下水道等の節電困難な施設があることも踏まえ、節電コア時間帯において平常時よりも2割の節電を求めている。
計画停電は実施予定なし
今回の地震により北海道で最大の火力発電所である苫東厚真火力発電所が緊急停止した。その影響により北海道域内全域で電気の使用量と発電量のバランスが崩れ、道内全域の発電所が停止。約295万戸で停電が発生した。
9月9日14:00時点の停電戸数は445戸。世耕経済産業大臣は9月9日夕方に行った臨時記者会見で、土砂崩れなどによって立ち入りが困難な地域にある405戸を除いて、同日中に停電を解消するとの見通しを示した。
世耕大臣は「現時点で、明日・10日月曜日に加えて、明後日・11日火曜日も計画停電を実施する予定はない」と述べる一方、オフィスや仕事場での活動も再開される明日・月曜日の節電コア時間帯が本当の正念場との認識を示した。
また、北海道電力に被災した苫東厚真火力発電所1、2、4号機のより具体的な復旧の見通しなどについて、一両日中に示すよう指示した。これにより現状、少なくとも1週間程度という形で道民に協力を求めている節電期間について、より具体的に見通せるようになるとの考えを述べた。
電力融通、さらに企業の自家発電も活用
北海道電力供給区域では、北海道電力等の水力・火力発電所の再稼働や、電力広域的運営推進機関(OCCTO)の指示に基づき北本連系線(60万kW)を介して、最大限の融通を実施(60万kW)し、9月9日14:00時点で、事業者の自家発電などを含め、最大346万kW程度の供給力を確保した。
また、経済産業省は、関係省庁を通して、自動車や紙パルプ、セメント、スーパー・コンビニなどの企業・業界へ節電への協力を要請した。それに対してこれらの企業・業界からは生産時間の夜間への変更や、工場・店舗での照明の間引き、消灯などで協力するという回答を得ているという。
【参考】
- 経済産業省 - 北海道電力管内における節電協力のお願いについて
- 経済産業省 - 世耕経済産業大臣の臨時記者会見の概要(平成30年9月9日)
- 経済産業省 - 世耕経済産業大臣の臨時記者会見の概要(平成30年9月8日)
- 経済産業省 - 北海道胆振地方中東部を震源とする地震の被害・対応状況について(9月9日(日曜日)14時30分時点)
- 電力広域的運営推進機関 - 需給状況改善のための指示の実施について