
北海道経済産業局は2月20日、2018年度「北国の省エネ・新エネ大賞」の表彰式を京王プラザホテル札幌で開催した。2018年度は、大賞1件と優秀賞8件を決定した。
大賞は道内初「ZEB」実現の新社屋
大賞には、アリガプランニング(北海道札幌市)の「道内初のランク『ZEB』(106%)を実現したアリガプランニング新社屋」が選ばれた。
この取り組みでは、グループ会社でZEBプランナーの有我工業所(北海道上富良野町)が、同社の新社屋建設に関与。外皮性能向上や地中熱・井水熱を利用した暖冷房システムの採用等により、建物のエネルギー消費で大半を占める空調エネルギー消費量を大幅に削減した。さらに、太陽光発電(創エネ)により、最高ランク「ZEB」(106%)を道内で初めて実現した。
受賞理由は、エネルギー削減効果、新エネルギー導入効果だけではなく、先進性・独創性の観点で高く評価されたこと。なお、同ビルは営業を開始した2018年4月以降の半年間の実績として、月平均エネルギー収支115%を達成している。
地中熱ヒートポンプ冷暖房の低コスト版も優秀賞
コロナ(新潟県三条市)は2月21日、同社札幌支店(北海道札幌市)と旭建材(同)が共同申請した「一般戸建住宅向け、寒冷地における杭活用による地中熱ヒートポンプ暖冷房システムの開発・導入」が、「北国の省エネ・新エネ大賞」(北海道経済産業局長表彰)で優秀賞を受賞した。
両社の取り組みでは、本州地域で販売中の、地中熱と空気熱+鋼管杭採熱管による「ハイブリッド暖冷房システム」をベースに、新たに寒冷地対応型システムを開発した。このシステムは、採熱管本数と深度を6本×10mとすることで、従来の100m以上×1本の掘削費用に比べ、施工費を抑えるとともに、灯油ボイラと比べ、約30%のCO2排出削減を可能とした。
これにより「施工費用を大幅に削減できるシステムを開発した先進性」と「北海道において、低コストで導入可能な寒冷地対応型システムを新たに開発したこと」が評価された。
従来、省エネ効果・新エネ導入効果に優れた地中熱ヒートポンプシステムの利用では、採熱井戸の掘削費用が高額になることが課題であった。両社開発のシステムはこれを解決できる。
今年度は上記のほかにも、農業残渣など廃棄物の熱利用を可能とした小型バイオマス燃焼機や簡易EMSなどの事例が優秀賞を受賞している。
「北国の省エネ・新エネ大賞」は、北海道経済産業局が、北海道における省エネルギー・新エネルギーに関する有効利用・開発・普及にかかわる取ち組みにおいて、著しい成果と功績があり、他の模範となる者を表彰する制度。2009年度から実施している。