
照明製品の世界大手企業であるシグニファイ(2016年にフィリップス ライティング ジャパン合同会社から社名変更、東京都品川区)は、食料品製造メーカーであるプライムデリカの植物工場へ、植物育成用LED照明「Philips GreenPower LED Production Module」を提供した。
同社の植物育成用LEDを導入した結果、コンビニエンスストアのセブン-イレブン利用者向けにビタミンレベルと栄養価の高い農作物の提供を実現した、という。
<品質に対する需要>
プライムデリカは、長年にわたりセブン-イレブン向けの主要食品メーカーとしての役割を担っています。新鮮で健康に良い、農薬不使用食品に対する需要の拡大に応えるため、プライムデリカは2019年1月に神奈川県相模原市に大規模な植物工場を新設しました。
株式会社セブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹前社長は、次のように述べています。
「露地栽培では農作物の成長に気候変動の影響が及ぶため、良質な農作物の安定的な供給は困難です。相模原の植物工場は、安全で健康に良い食品をお客様に提供するために、大きな前進をもたらしてくれると考えています。」
<研究による裏付け>
「当社は常に最高品質の農作物づくりを目指し、健康に良い野菜を安定的に供給することをお客様にお約束したいと考えています。」と、プライムデリカ社齊藤正義代表取締役社長は述べています。
「LED照明を使えば、照明の色、点灯時間、位置を調整して栽培プロセスを操作できます。玉川大学、シーシーエス、シグニファイの植物専門家と行った長年の研究の末、フィリップス グリーンパワーLEDプロダクションモジュールを用いた植物育成法を開発しました。
フィリップスグリーンパワーLEDによって、適切な照明戦略のもと、農作物の成長サイクルを完全にコントロールすることができます。」
<価値の高い農作物>
プライムデリカは、各農作物の成長段階に応じて異なるライトレシピを適用し、収穫前には、機能性食品要件を満たすため、ビタミンCレベルを向上させる処置を施します。
高い品質に加え、プライムデリカの植物工場で採れる農作物は細菌数もはるかに少なく、農薬も使用しておりません。これはセブン-イレブンにとって大きな利点となります。
「プライムデリカは農薬を一切使用しません。なぜなら、当社の農作物は閉ざされた環境下で栽培されているからです。そのため、空気も汚染されません。」と齊藤代表取締役社長は説明します。
「当社の農作物は、収穫後48時間以内にセブン-イレブンの店舗に輸送配達可能なため、非常に新鮮でビタミンも多く含まれています。収穫1回あたりの原価は露地栽培時よりも高いのですが、プロセス全体で見ると物流、検品、洗浄に関してはほとんど無駄がなく、大幅なコスト削減を達成しています。工場全体で見れば、コスト削減メカニズムが成立しています。」
<自動化の推進>
プライムデリカは、種蒔きから収穫までの全プロセスを自動化し、作業時間の最小化と農作物の衛生状態向上を図りました。物流業務はロボットが行います。
レタス(フリルレタス、サニーレタスなど)の種蒔きから収穫までの栽培サイクルの総日数は、露地栽培では70日間であるのに対し、植物工場ではたったの39日間に短縮が可能です。1日あたり最大3,200kgものレタスを生産することができます。
相模原の新施設は2019年1月から稼働を開始しましたが、プライムデリカは2019年、2020年にはさらなる拡大を見込んでいます。将来的には同様の垂直農場でイチゴなどの他の農作物も栽培することを検討しています。
<シグニファイについて>
シグニファイ(ユーロネクスト: LIGHT)は、プロフェッショナル照明、コンシューマー照明分野ならびにIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の分野において世界最大手の企業です。
フィリップス製品やコネクティッド照明システム「Interact」、データ通信可能なサービスは、ビジネス価値を生み出すことで家庭だけでなく、ビルや市街地での生活にも変化をもたらします。
2018年の売上は約64億ユーロ、約29,000人の従業員を擁し、世界70か国以上で事業活動を展開しています。
この記事は、たとえば
- 植物工場を運営する事業者にとって、採用する設備の例として参考になります。
- 植物工場関連の製品・サービスを提供する事業者にとって、他社の導入事例として参考になります。