大和ハウス工業(大阪府大阪市)は3月1日、エネルギー効率と再生可能エネルギーに関する国際イニシアティブ「EP100」と「RE100」に加盟したと発表した。
ESG(環境、社会・ガバナンス)投資が注目される中、「EP100」や「RE100」への加盟状況は世界的な投資判断基準のひとつとされている。同社は両イニシアティブへの加盟により、財務基盤のさらなる強化を図る。
2040年にエネ効率を2倍、100%再エネに
「EP100」は、エネルギー効率の高い技術や取り組みの導入を通じて事業のエネルギー効率を倍増することを目標に掲げる企業連合のことをいい、「RE100」は、事業運営に要する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業連合をいう。
同社は、「EP100」では、同社グループ事業活動におけるエネルギー効率を2015年比で2030年に1.5倍、2040年に2倍にする目標を掲げる。
また、「RE100」では、2030年までに使用電力量を上回る再生エネルギーの電力供給(売電)を図り、2040年には同社グループの使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うという目標を掲げている。
建設・住宅業界で先進的な加盟
同社の「EP100」・「RE100」双方への加盟は建設・住宅業界で世界初、「EP100」への加盟は日本初となるという。
「RE100」への加盟は、リコー(東京都大田区)、積水ハウス(大阪府大阪市)、アスクル(東京都)に次いで、国内4社目。なお、アスクルは、事業運営に関係する車輌をすべて電気自動車に転換することを目標に掲げる企業が参加する国際ビジネスイニシアチブ「EV100」にも加盟している。
これら「EP100」「RE100」「EV100」は、国連気候変動枠組条約「COP21」のパリ協定達成を目的に、エネルギーや気候変動適応などを推進するため、国際的なNPO法人、クライメイトグループ(The Climate Group)が運営する国際イニシアティブだ。
環境配慮型施設の提案・普及を加速
大和ハウスグループは環境長期ビジョンに基づき、グループ・グローバル一体での環境経営を推進し、「環境負荷ゼロ」に挑戦。2016年度には大和ハウスグループの事業活動におけるエネルギー効率(消費エネルギー量あたりの売上高)で2005年度比約2倍を達成した。
また、2007年より自社未利用地を活用した再生可能エネルギーによる発電事業を推進している。その結果、同グループの再生可能エネルギー発電設備は、227MW(2017年12月末時点)まで達しており、その発電量は大和ハウスグループの総電力使用量481GWhの約6割に相当する。
さらに同社グループは、今回の「EP100」「RE100」への加盟を機に、自社施設でのエネルギー効率向上と再生可能エネルギーの活用を加速させる。
そのモデルケースとして、2018年2月26日に佐賀県佐賀市で竣工したオフィスビル「大和ハウス佐賀ビル」をあげる。
このビルでは、井水・太陽熱利用ハイブリッド空調システム等の導入により一般建築と比較して2倍以上のエネルギー効率を達成する。
また、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた電力自立システムにより、再生可能エネルギーによる電力自給自足オフィスを実現した。
今後、同施設で得られた成果を自社施設へ水平展開するとともに、同オフィスをショールームとしても活用し、顧客への環境配慮型施設の提案・普及を加速させていく。