環境省は4月12日、一般財団法人環境優良車普及機構(東京都新宿区)を執行団体として、2018年度「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(物流分野におけるCO2削減対策促進事業)」の公募を開始した。
この事業は、物流分野におけるエネルギー起源二酸化炭素排出の抑制に資する設備や技術等を導入する事業に対して、その経費の一部を補助するもの。
同事業の推進によって、効率的・低炭素な輸送モードなどへの転換や、事業者連携による低炭素な輸配送システムを構築し、物流システム全体の低炭素化への転換を図る。
補助金の対象となる事業とその概要は、以下の通り。
トラック輸送高効率化支援事業
1:連結トラック導入支援事業
1回の輸送で通常の大型トラック約2台分まで輸送できる連結トラックの導入に要する経費の一部を補助する。補助率は3分の1以内。
補助対象事業者は、貨物の運送を実施する貨物自動車運送事業者または、補助対象の設備等を同事業者にファイナンスリースにより提供する契約を行う民間企業。
2:スワップボディコンテナ車両導入支援事業
積載率向上や中継輸送の促進などに効果的なスワップボディコンテナ車両の導入に要する経費の一部を補助する。補助率は、補助対象経費と一般的なトラックとの差額の2分の1以内。ただし、貨物自動車1台当たりの上限荷台は3基。
補助対象事業者は、貨物の運送を実施する貨物自動車運送事業者または、補助対象の設備等を同事業者にファイナンスリースにより提供する契約を行う民間企業。
モーダルシフト促進支援事業
1:鉄道における低炭素機器導入
貨物鉄道を利用して輸送する物流事業者に対して、輸送能力・燃費など単体性能の向上に資する設備の導入経費の一部を補助する。補助率は4分の1以内。
補助対象事業者は、貨物の輸送を実施する貨物鉄道事業者または、補助対象の設備等を同事業者にファイナンスリースにより提供する契約を行う民間企業。
2:船舶における低炭素機器導入
一定船齢の船舶において、燃費性能の向上に資する設備・機器等の導入(船舶改造を含む)に要する経費の一部を補助する。補助率は、工事費などの2分の1以内。
補助対象事業者は、海上運送法に規定する船舶運航事業(日本の港と日本以外の地域との間、または日本以外の地域の各港間において行われるものを除く)を営む者、海上運送法(日本の港と日本以外の地域との間、または日本以外の地域の各港間において行われるものを除く)を営む者、内航海運業法に規定する内航海運業を営む者、または補助対象の設備等をこれらの事業者にファイナンスリースにより提供する契約を行う民間企業。
3:モーダルシフト・輸送効率化による低炭素型静脈物流促進事業
海運を活用した低炭素型静脈物流システムの構築に必要な経費の一部を補助する。補助率は、低炭素型静脈物流システム構築事業が運行費などの3分の2以内。循環資源等取扱設備導入事業は工事費などの2分の1以内。
補助対象事業者は、会社法に規定する株式会社、一般社団法人・一般財団法人、その他環境大臣の承認を得て機構が適当と認める者、または、補助対象の設備等をこれらの事業者にファイナンスリースにより提供する契約を行う民間企業。
高品質低炭素型低温輸送システムの構築促進事業
冷蔵・冷凍を要する貨物の物流(コールドチェーン)において、鮮度保持機能を有する保冷コンテナ(海上・鉄道の各貨物輸送用)などの導入に要する経費の一部を補助する。補助率は、補助対象経費と一般的な鉄道輸送用保冷コンテナ・海上輸送用保冷コンテナとの差額の2分の1以内。上限は1個につき500万円。
補助対象事業者は、貨物の運送を委託する荷主企業 、貨物の運送を実施する貨物運送事業者、貨物鉄 道事業者、海運事業者、港湾運送事業者・営業用倉庫業者等物流にかかわる関係者、または、補助対象の設備等をこれらの事業者にファイナンスリースにより提供する契約を行う民間企業。
IoTを活用した物流低炭素化促進事業
1:港湾におけるIoTを活用した低炭素化促進事業
IoT機器などを活用し、港湾内とその背後圏を走行するシャーシの共有化や、マルチコンテナシャーシなどの導入に要する経費の一部を補助する。補助率は、工事費などの2分の1以内。マルチコンテナシャーシについては補助対象経費と一般的なシャーシとの差額の2分の1以内。
補助対象者は、主に貨物の運送を実施する者である貨物自動車運送事業者や貨物利用運送事業者で構成される団体や協議会等、または、補助対象の設備等をこれらにファイナンスリースにより提供する契約を行う民間企業。
2:情報の共有化による低炭素な輸送・荷役システム構築事業
複数の物流事業者・物流施設が荷物情報などを共有するバース予約調整システムの導入に必要な経費の一部を補助する。補助率は、2分の1以内。
補助対象者は、営業用倉庫業者、貨物の運送を実施する貨物自動車運送事業者、貨物の運送を実施する貨物利用運送事業者、これらの事業者で構成される協議会等、または補助対象の設備等をこれらに対してファイナンスリースにより提供する契約を行う民間企業。
3:宅配情報システムネットワーク化推進事業
宅配ボックスを複数の事業者が共同利用できるように情報システムのネットワーク化に要する経費の一部を補助する。補助率は2分の1以内、上限は300万円。
補助対象事業者は、システム開発者または、補助対象の設備等を同者にファイナンスリースにより提供する契約を行う民間企業。
既存の旅客交通システムを活用した省CO2輸送システムモデル
1:事業未利用輸送力を活用した貨物輸送の低炭素化促進事業
地方の旅客鉄道、乗合バス、タクシーの余剰輸送力を活用して貨 客混載を促進することに要する経費の一部に補助する。補助率は工事費などの3分の1以内。
補助対象事業者は、貨物の輸送を実施する貨物運送事業者等、貨物の輸送を委託する荷主企業、または補助対象の設備等をこれらに対してファイナンスリースにより提供する契約を行う民間企業。
2:中山間地における貨客混載促進事業
中山間地の自家用有償旅客運送で、貨客混載に必要なEV車などの導入に要する経費の一部を補助する。補助率は、2分の1以内。
補助対象事業者は、自家用有償旅客運送を行う者のうち、貨客混載を行う者、補助対象の設備等を同事業者に対してファイナンスリースにより提供する契約を行う民間企業。
詳細な対象経費、対象事業者などの各要件などについては、公募要領を参照のこと。また、補助を受けた事業者は、申請において算出過程も含む二酸化炭素の削減量の根拠を明示し、事業完了後は削減量の実績を報告すること。
応募する事業者は、郵便、信書便または持参により環境優良車普及機構へ提出する。締め切りは5月14日17時必着。
なお、追加情報がある場合は、執行団体である環境優良車普及機構(東京都新宿区)HPにて公開される。現在、同機構のHP上で2017年度の審査基準を掲載中。2018年度の審査基準は、4月中に公開・更新される予定。
公募説明会は全国7カ所
同機構は、同公募に関する説明会を全国7カ所で開催する。
開催地と日程は、以下の通り。
東京会場
開催日は4月18日、場所はTKP市ヶ谷カンファレンスセンター ホール4A(東京都新宿区)。定員は240名。
仙台会場
開催日は4月19日、場所はTKP仙台カンファレンスセンター カンファレンスルーム4B(宮城県仙台市)。定員は78名。
札幌会場
開催日は4月20日、場所はTKPガーデンシティ札幌駅前 カンファレンスルーム3E(北海道札幌市)。定員は72名。
高松会場
開催日は4月23日、場所は高松シティホテル 会議室(香川県高松市)。定員は48名。
大阪会場
開催日は4月24日、場所はTKP大阪駅前カンファレンスセンター ホール15A(大阪府大阪市)。定員は114名。
名古屋会場
開催日は4月25日、場所はTKP名古屋栄カンファレンスセンター カンファレンスルーム1(愛知県名古屋市)。定員は54名。
福岡会場
開催日は4月26日、場所はTKPガーデンシティ博多アネックス ジュピター(福岡県福岡市)。定員は80名。
時間はいずれも、13:30〜16:30。
参加希望者は、参加申込書に必要事項を記入し、環境優良車普及機構 物流CO2削減促進事業執行グループに、メールまたはFAXで申し込む(先着順)。ただし、参加できるのは1会社・事業所につき2名まで。
運輸部門は全CO2排出量の2割、うち1/3が物流関係
運輸部門におけるエネルギー起源二酸化炭素の排出量は、日本全体の約2割を占めており、その3分の1以上を物流関係が占めている。そのため、物流分野におけるエネルギー起源二酸化炭素排出の抑制は重要とされている。