住友商事(東京都中央区)は、同社初のランプウエイ型物流施設「SOSiLA横浜港北」(神奈川県横浜市)が3月末に本格稼働を開始したと発表した。
同施設は、消費地へのアクセスに優れた第三京浜道路「港北インターチェンジ」周辺の好立地にあり、神奈川内陸エリア・東京城西城南エリア向けのラストワンマイル(物流施設からエンドユーザーまで商品を運ぶ配送の最後の区間)として短時間納品や多頻度配送に寄与する。
また、同施設は、人口密集エリアにおける新たな物流施設のあり方を目指し、ランプウエイ型(円形の連続スロープで上層階までトラックを直接乗り上げる施設形態)の物流施設として開発された。
ランプウエイを前面道路側に、騒音などの発生源となるトラックバースを半屋内に配置した設計により、周辺環境への影響を最小化。1~3階までランプウエイでトラックが着車できるため、荷物の積み下ろしも効率的に行うことができる。
BCP対応、太陽光発電、LED照明など導入
BCP(事業継続計画)対応の面では、万が一の停電時に最低限施設を利用できるよう、停電時48時間対応の非常用発電機を実装。
環境への配慮では、庫内作業に適した平均照度300ルクスのLED照明を導入したほか、最上階の温熱環境改善を目的に屋上緑化や太陽光発電パネルを敷設した。外壁には、室内温熱環境の改善に一定の効果が期待される、断熱性の高い金属サンドイッチパネルを採用した。
さらに、働く場として、施設内の共用部に無料Wifiを装備したラウンジやシャワールームを設置するなどの環境を整備した。
この「SOSiLA横浜港北」の敷地面積は39,064.11平方メートル。延床面積は87,443.56平方メートル。鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造)で4階建。2016年8月に着工し、2017年9月に竣工した。
「配送効率」「雇用環境」などで物流拠点としてアピール
同施設の1階フロアについては、アサヒロジスティクス(埼玉県さいたま市)と賃貸借契約を締結し、セブン-イレブン・ジャパン(東京都千代田区)向けとして全国で初めて同一施設内で三温度帯に対応した戦略的物流拠点として稼働を開始した。
この他にも、同施設が消費地に近くトラック配送効率の大幅な改善が期待できること、少ないフロア数で高効率オペレーションが可能なこと、さらに、周辺人口に恵まれ雇用環境が優れている点などが評価され、ヤマト運輸(東京都千代田区)など複数社と賃貸借契約を締結しているという。
他の区画では入居企業を募集しており、今後、マルチテナント向け大型物流施設としての価値向上に取り組んでいく。
住友商事は、物流不動産をオフィスビル・商業施設・分譲マンションに次ぐ不動産事業「第4の柱」と位置付け、多様なニーズに対応する最新鋭物流施設を「SOSiLA」というブランド名で開発・展開している。
近年インターネット通販の拡大などによる人手不足の深刻化や、環境負荷の低減に対応するため、物流の効率化ニーズが高まっている。同社は今後も、人口密集エリアを中心とした都市型物流施設の開発を行っていくとしている。