
大成建設(東京都新宿区)は4月4日、大阪府大阪市北浜エリアに、近畿産業信用組合(大阪府大阪市)の新本店ビルを完成させたと発表した。同ビルは、これまで都心部の高層ビルでは実現が困難とされていたZEB Readyを達成した。
同ビルは、「伝統×革新」のコンセプトを伝統を表す石と近代的なガラスで構成されたダブルスキンの外装で体現し、意匠性だけではなく、環境性能にも優れたZEB対応の都市型高層建物である。建築面積は658.76m2、延床面積は11,335.38m2。建物は、地上18階/地下1階/塔屋1階。

外観の特徴となる外装のガラスには、様遮熱・断熱性能に優れたLow-E複層ガラスを使用している。窓辺には太陽光自動追尾型ブラインドを設置し、効果的に日射遮蔽を行う。その他にも、ダブルスキン内の熱を利用した空調システムや人検知センサーを利用した照明制御(T-Zone Saver)を導入。ライトアップにもLED照明を使用するなど様々な省エネ技術を駆使することで、従来のオフィスビルに比べ、約61%の年間一次エネルギー消費量を削減し、ZEB Readyを実現した。
大成建設は、今後もさまざまなZEB化に関わる新技術の開発と在来技術のベストマッチングを図り、市場性のあるZEB化建築物の普及展開を積極的に推進していく構えだ。
なお、同ビルの発注元である近畿産業信用組合は、こうした取り組みをSII(環境共創イニシアチブ)が公募する2018年度のZEBリーディング・オーナーに登録し、さらなるZEB普及に取り組んでいる。なお、新本店の移転オープンは5月20日。
ZEBリーディング・オーナー登録制度が普及を推進

2030年までに新築建築物の平均でZEB実現が肝要となることから、これから建設される新築建築物は、ZEB Ready以上の性能を有する建築物の普及目標を有することが求められる。
また、「ZEBリーディング・オーナー登録制度」は、ZEB事例を有するオーナー(地方公共団体以外の法人、個人など)、ZEBの普及に向けた具体計画を有する事業者などを「ZEBリーディング・オーナー」として公募し、登録・公表することで日本のZEB普及の活性化を目的とした制度だ。

同制度で認定された「ZEBリーディング・オーナー」の役割は、自らのZEBに関連する取り組みや、中長期のZEB導入計画と目標について、SIIに報告するとともに情報発信することが求められている。